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かぐや姫の物語 感想 罪と罰 [エンタメ]

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2013年、スタジオジブリの高畑勲監督の大作、
「かぐや姫の物語」が、23日に公開されましたね。

kaguya.jpg

kurosukeも公開日に映画館で観てきました!
今日は映画の感想と、「姫の犯した罪と罰」について
多少のネタバレを含みつつ、書いていきたいと思います。


【あらすじ】
これは、まんま「竹取物語」のとおり進みます。
多少のオリジナル要素はありますが、高畑監督によって原作の行間を埋めているもので、
基本的に原作の枠をはみ出さない範囲で描かれているようです。

それは高畑監督が東映動画に所属していた55年前、内田吐夢監督による「竹取物語」の
アニメーション制作の話が持ち上がった時、社員が企画案を提出することになったそうですが
高畑監督は原作には描かれてない「物語のプロローグ」(冒頭よりさらに以前の出来事)
つまり「かぐや姫が地球にくることになったそもそもの発端」について描いたそうです。
結果的に企画はボツだったそうですが。

かぐや姫は「昔の契りによってこの地に下ろされた」と語りますが、
その「契り」とはどういうことなのか、原作では語られません。
日本最古の物語ともいわれる「竹取物語」を描くということは、
高畑監督にとっても「昔の契り」なのかもしれませんね。





【感想】
kurosukeの感想としては、

「作画がヤバイ!」 「キャラクターが多彩だ!」 「翁と媼(おきなとおうな)の愛情に泣けた!」
といった感じなのですが、細かく書いちゃうとネタバレ?になってしまいますね。
以下には多少のネタバレが含まれますのでご注意ください。





まず「作画」ですが、予告篇などでみなさんもご存知のとおり、
いわゆる最近のアニメとは程遠い印象の画風ですよね。

kaguya2.jpg

姫の走るシーンに象徴されるスケッチ風の表現や、
野山の草花などを生き生きと描く水彩画風の表現
原作の世界観をよく表していると思いました。

原作の描かれた時代は平安時代。日本でようやく「都」というものが造られ
帝と少数の貴族による豪勢な暮らしぶりと、野山で人として十分な生き方をする
翁と媼、捨丸の家族たちとの対比が際だっていました。





次に「キャラクター」ですが、基本原作どおりなので
登場人物が大きく変わっているということはありません。

ただ、翁はかぐや姫の生い立ちを「高貴な方」だと悟っているせいか
とにかく高貴な方との結婚を夢見ているし、媼は平安時代の婆さんにしては
考え方がフランクな気がしました(笑)

昔話の印象からすると、二人とももっと控えめな感じを受けたんですけどね。


個人的には、屋敷に移り住んでからかぐや姫の身の回りを世話する侍女が
余りにも個性的すぎてツボにはまりました。(パタリロみたい)
名前は出てこなかった気がするのですが、知っている方いたら教えてください(笑)






最後に「翁と媼の愛情」ですが、これも見事に対比で描かれていますね。

かぐや姫が月に帰るとわかったとき、「決して帰らせはしない」と
翁は戦いの準備を始め、媼は残り少ない地球での時間を
姫の過ごしたいようにさせるため、隠れて牛車を出します。

生みの親?なのでしょうか。月の世界から姫を迎えにくる父王は
見た目がブッダですね。
極楽の世界の住人なので、感情らしきものは表情にまったく表れません。

対して育ての親である翁と媼は
「行かないで!」「私たちも連れて行って!」
涙ながらに訴えます。


これはこの作品のテーマである「姫の犯した罪と罰」に通ずる部分ですが、

この世は穢れに満ちていて、そこの住人である者は帝や貴族たちでさえ低俗な存在である。
あの世は何も心配する事がなく、そこに住む者こそが高貴なものである。

というのが原作の根底にある考え方(おそらく仏教の考え方)です。

細かいことに一喜一憂するこの世と、そういうこの世のしがらみをすべて捨てたあの世。
仏教的な教えからすると、もちろんあの世での姿が理想となるわけですが
月の世界にいたかぐや姫は「修行の期間であるというこの世の世界も、決して穢れてなんかいない。 むしろ『生きるために生まれてきた』ことを実感できる素晴らしい場所である」と考え、
憧れていました(これが姫の犯した罪)。

しかしそれを知った父王の命により、穢れているというこの世に身を落とされ、
月に帰りたいと思うまで戻れなくなってしまいます(これが罰)。




しかし、映画で描かれている「罪と罰」については、ちょっと違う印象を受けました。

かぐや姫は地球に下ろされたあと、竹取の家の娘として育ちましたが、
都へ移り住むため(おそらく好きだった)捨丸の家族と離れ離れになってしまいます。
都では自分らしさを捨てて眉毛を抜きお歯黒をし、望んでもいない宴会や儀式をしたり
俗物の貴族や帝からの求婚話を聞く事になったのです。

月に帰ることが分かったあと、生まれ育った地へ行くと捨丸の家族が帰ってきました。
「兄ちゃんとなら幸せになれたかもしれない」とかぐや姫が打ち明けると「一緒に逃げよう!」という捨丸。
でも「もう遅い!」と涙ぐむ姫。捨丸との飛翔シーンの中で水に墜落するのは、
「二人の恋の終わり」を意味しているのではないでしょうか。


ということから、kurosukeの印象としては、

本来憧れていたはずの野山での生活をせず、都での窮屈な生活を選んだことが、罪。 好きだった捨丸との人生を歩めなくなり、月へ帰らなくてはならなくなったことが、罰。

そんな風に感じましたけどね。




「かぐや姫の物語」、公開週の土日2日間の動員が22万人、興行収入は2億8千万円
動員ランキング首位での大ヒットスタートだそうです。

みなさんもぜひ映画館でご覧ください!
よかったら感想をコメントしてくださいね。






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